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2007年12月 4日 (火)

「怪人オヨヨ大統領」

スラップスティックなんだということはハーポとチコというかのマルクス兄弟から採った名前からもわかるわけですが。

極端な行動の登場人物に似合わぬ淡々とした語り口が奇妙な味わいをかもしていて印象的でした。

例えば、タクシーの運転手が、高速道路でまえの車の上をとびこえるという場面。

「ですから、車だって、まえの車のうしろにくっついて走るんじゃなくて、上をとびこえればいいわけですよ。一つだけじゃなくて、ぴょん、ぴょん、こえれば早く進めるんです」

「そういうことが可能ならばな」

「可能だから、言ってるんです。……やってみましょうか」

あたしたちののった車は、いきなり、まえを走る外車によじ登って、すべりおりた。

「なにをする!」という声がうしろで聞こえた。

「これで、羽田まで行けば、意外に、早く着くわけですよ」

「きみは天才だ!」

グルニヨンが叫ぶ。

「そう、ぼくは天才!天才なんだ!」

青年は目をギラギラさせて、両手をあげた。アブナいひとだ。

文字で落語を読んでいるような感じでした。小林まことがマンガ化したら面白いかも。佐々木マキの挿絵が面白い。描線のへろへろした感じに似合わないシャープな感じがいいですね。

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2007年12月 1日 (土)

「秘密のオルゴール」

秘密のオルゴール

いつみはある日死んだ祖母の家で出会った猫が、血だらけになって倒れているのを見つけます。いつの間にか家に置くことになったその猫が、実は二本足で立ち、人と話せることに気付きます。一方、街では子供の行方不明事件が相次いでいました。友人の莉々が行方不明になったのを知ったいつみは、猫のムスビと莉々を探しだそうとします。

妖界ナビ・ルナの池田美代子の作です。ナビ・ルナより年齢層が高めのため、扱う人間関係も複雑になっています。

出色なのは能力者であることでまわりに不思議ちゃん扱いされる玉之屋さんの描写です。彼女はどうやら予知能力があるようなのですが、悪い予知を同級生に公言したことで、「人気とりのためのサギ師」という汚名をもらうことになってしまいます。このへんの描写がやけにリアル。気は強いけど心は優しい莉々が、玉之屋さんを罵倒する場面が妙にいきいきしてます。「玉之屋さんはわるい子じゃないよ」といういつみのセリフに「うそつきが、わるい子じゃないのかなあ」という反応を返すところがよいです。

ガラスのオルゴールという美しいモチーフや、それに似合わぬ気味の悪いしかけも面白い。

ありがちといえばありがちだし、退屈な部分もあるのですが、どこか気になって仕方ないザリッとした部分を持つ作家だと思います。

あと、猫の絵と描写がかわいい。ミルクティー色の毛並みってときめく…!!

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