出崎統監督の劇場用ブラックジャックを観ていたら、エンドクレジットに森絵都の名が!
そうか、どおりで…。これに出てくるピノコや、映画オリジナル女性キャラ、ジョー・キャロル・ブレーンは、いまのとこ出崎監督作品の中でもっともいい感じの造形の女性キャラクターなんですよ。
たとえばピノコ。映画中盤でブラックジャックを利用しようとする悪党に、人質に捕られてしまいます。狼狽するブラックジャックの前に、ホテルでくつろぐピノコの映像が流されるので、視聴者は一見ピノコが事情を知らずに遊んでるのかと思ってしまう。しかし、ベッドの中で「ピノコ、ニンタイしてゆんやかや」と涙を流す姿が写る。実は全てを承知していてブラックジャックを心配させまいとはしゃいでいることが、わかるんですね。
「やるなあ! 監督」とか思ってたんですが、そうか森絵都のおかげだったんですねー。
もちろん「このエピソードは森原案」なんて書いてある訳じゃないですが、なんか普段の出崎監督が描く女性ってあんま魅力的に感じられないんで…。絵に描いたような紋切り型か、男性を描く時の方法論で描いてるかのどっちか。もっとも「雪の女王」「AIR」「白鯨伝説」「ベルサイユのばら」「劇場版あしたのジョー2」しか観てないんですが。しかしオリジナルアニメの「白鯨伝説」観ると、「監督絶対、女の人ってよくわからんと思ってるなあ」と感じてしまって観ててしんどいものがあります。
ジャンヌ? オスカル? あれはかっこいい男を描く時の方法をそのまま使ってるからなあ…。魅力的なんだけど、あこがれの対象にならない感じなんですよね…。結局二人ともうつむいて死んじゃう感じだし。
その点、映画のジョー・キャロルはすごいです。ネタバレになっちゃうからくわしく書けないんだけど、自らの信念のためなら他人を傷つけることも厭わないっていう信念の人で、さんざんブラックジャックを利用しておいて最後までまったく悪びれない。ブラックジャックの強さに引けを捕らない好敵手として描かれています。「これはイイ! 監督えらい。いつもとちがう」と思ってたら、森絵都が関わってたのかー。
この映画、かなりヒットしたらしいですが、それはきっと出崎&森タッグの脚本のおかげだと思います。
あ、一応言っておくと、出崎テイスト満載のハードボイルドな間黒男は大塚明夫の声と相まってすごくかっこいいです。映画自体も、映画として面白い、水準の高い作品です。
(追記:5月5日)なんて言ってネット徘徊してたらこちらの記事にこんな文章が。
ova版BJで出崎監督が最初はピノコは要らない存在だと思ったという話は有名ですよね。(中略)出崎監督的には体は小さくても18歳でBJに恋心を持っている。子供扱いはしたくないので、作品中ではBJはピノコを子供扱いしていないということからピノコ語も少ないのだとか。だから、水谷さんにはピノコを大人らしく演じて欲しいということで再びアフレコをやり直したそうです。 (てづかっ子な日記)
最初いらないと思ってたような人が正しくピノコを描けるっつーのがすごいなあ。OVA版のピノコは時々ナレーション役に回るのですが、ナレーション時のセリフは全くどもっていなくて、むしろ大人の女性という感じのしゃべり方をしているのです。ピノコを子供扱いしないってすごくいい演出だと思っていたのですが、うーむ監督指導でしたか。
実は私、出崎監督のことだからピノコ登場させないんじゃないかと思っていたんですよ。だから、OVA&映画版で魅力的に描かれていたことに喜びつつ驚いていたのですが、やっぱり最初はいらないって思ってたかー。でも、それなのにキチッとピノコを描けることをむしろ賞賛したい。やっぱプロは視聴者の上行きますね。
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